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2006年6月26日 (月)

核問題1(その2)

核濃縮と再処理

 天然ウランはウラン238(U238)が99.276%をしめ、低速の中性子を吸収して核分裂を起こすウラン235(U235)はわずか0.7196%しか含まれて居ません。U235は核分裂の際2~3個の中性子を放出し、これがU235に吸収されると核分裂させ、つぎつぎにこの過程が進むことを連鎖反応といいますが、U238はこの中性子を吸収しても核分裂を起こしません。一個の核分裂によって生じた中性子がつぎのU235に核分裂を平均して何個引き起こすか、その個数を増倍率といいます。原子爆弾は同位元素分離という困難な技術によってU235を80%以上に濃縮して、増倍率を2近くにまでしました。仮に2の増倍率とすると、連鎖反応が80回繰り返されたとき約1キログラムが分裂します。これに要する時間は約1000万分の1秒です。原子爆弾の凄まじい破壊力はその爆発エネルギーの巨大さにあるのはもちろんですが、放出時間がこのように短時間であることも一因と言えるのではないでしょうか。

原子力発電ではU235の濃縮度を約3%位にし、増倍率を1程度にして連鎖反応を途切れないように、しかも分裂数が増えないように中性子を吸収する制御棒を出し入れして運転しています。一個の分裂で発生した中性子がつぎの核分裂を起こすまでの時間はおよそ10億分の1秒ですから、制御は不可能ですが、冷却をかねた水によって中性子を減速し、さらに分裂の際遅れて中性子を放出するものがあるために制御ができるのです。

ともあれ軽水炉と呼ばれる原子炉の核燃料はU235を濃縮することが必要になるのです。米国の原爆開発(広島型ウラン爆弾)にあたって技術上克服しなければならなかった最大の難問の一つは天然ウランからU235を80%以上にする同位元素分離でありました。いまでは超遠心分離法としてよく知られていますが、その技術上多くの機密の問題はパキスタンのカーン博士の闇取引のように、未だに様々な技術上の問題を秘めています。

ついでプルトニウム問題です。これは直接処分法を取れば生じないことです。例えば玄海4号(加圧水型軽水炉PWR)の炉心には外径9.5mm、全長3.9メートルの細長いジルカロイ燃料棒が3mmの間隔で設置された中を冷却水が流れています。ウラン235の濃縮度、が領域により2.03.54.1%と異なりますが、この低濃縮ウランは融点が高く安定性がよいセラミック状に加工した酸化ウランのペレットにして燃料棒につめられています。総計核燃料棒55、777本が17×17本の集合体、193個からなっています。 

核分裂によって生じた中性子は燃料棒の間にある冷却水によって減速されつぎのU235を分裂させ連鎖反応が持続します。同時に発生した残りの中性子は一部はウラン238に吸収され、一部は炉心内の色々な装置に吸収されます。

中性子を吸収したU238はネプチニウムNp239になりついでプルトニウム239となります。つまり原子力発電には必然的にプルトニウムの発生を伴うことになります。一定時間燃焼した燃料棒は取り出して新しい燃料棒に取り替えますが、この使用済み核燃料棒は内部に生じたプルトニウム、やU235が分裂して出来た多種類の生成物、まだ分裂していないU235、U238を閉じ込めています。まだ分裂生成物など核反応が継続して発熱や放射線を出すので水槽に貯蔵しておかねばなりません。

世界の体勢はその後、そのまま地下深い安定な貯蔵所に管理保管する直接処分法をとっています。しかし日本は再処理してプルトニウムを利用する政策を執ってきました。このため様々の問題が生じることになります。   

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