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2007年5月20日 (日)

ロシアの核

 表紙の終末時計で知られる原子科学者会報(Bulletin of the Atomic Scienntists)には毎号巻末に数ページのNuclear Notebookの項目が掲載され世界の核兵器関連資料を見ることが出来ます。新しい信頼できる資料と言われています。その最新号 3/4月号(2007)に「ロシアの核兵力、2007」があるので、一部紹介します。

戦略核兵力

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)

 Type  Name Launchers Year deployed Warheadsxyield(kilotons) Total Warheads

ss-18  Satan      80     1979     10x550/750(MIRV)      800

ss-19  Stiletto    126     1980      6x550/750(MIRV)      756

ss-25  Sickle     242     1985         1x550               242

ss-27  Topol-M   42      1997         1x550        42

ss-27A Topol-M1  3      2006         1x550(?)               3

         493                                                   1,843

 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)

ss-N-18 M-1   5/80    1978      3 X200(MIRV)        240

ss-N-23           6/96    1986      4X 100(MIRV)       284

                   11/176                                     624

爆撃機       78                      872

配備核弾頭数、総計~3,339

 このほかに戦術核約2、330、また配備からはずされたり、分解されている弾頭が約9,300あるのでここれをいれて約15,000発と推定されています。

プーティンは核兵力は敵対国とのバランスを考慮するが、それは核兵器や弾頭の数より、質が重要だという。ロシアは戦略核弾頭数を2007年の3、339から、2012年には2,053、2020年1726に削減する計画だと言います。

 しかし2006年12月に実戦配備した3基の大陸間弾道ミサイルTopol M1sを廃棄するss-25と取り替え、2015年には50基にするといいます。

 それではTopol- M1sはどのような性能のものでしょうか。ロシアは地下に発射基地を持つアメリカとちがって、軌道上を移動できる列車に主力を置いてきました。Topol-M 1sはさらに改良したもので、主に森林地帯の10平方キロメートルを移動できるのみならず、新しい偽装法によって、上空から探知することは不可能だといいます。

  核不拡散条約に違反して核開発するのは、アメリカがポーランドとチェコにミサイル防衛(MID)のレーダーと迎撃基地をおく企画をしているからだと言います。ミサイル迎撃は大気圏(地上から約80キロメートル)までほぼ鉛直に上昇するブースト段階が速度が遅いので最も重要です。弾頭をレーザーやミサイルで破壊するのには発射地点に近いほど有利です。アメリカが意図するポーランドやチェコにMID基地が置かれれば、ロシアの重要なヨーロッパ域のICBM発射基地をカバーし、核兵力のバランスを害うという懸念から、その対抗措置として、発射地点が特定できず急速に移動できるTopol-M1を開発増強するというのが 

がロシアの言い分です。

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